これから注文住宅を建てようとしている人が最近よく見る「ZEH住宅」という言葉。
聞いたことはあるけど「ZEHって何なの?」と思う人も多いかもしれません。
そんなZEH住宅ですが、私たちにはうれしいメリットがたくさんあります。
ZEH住宅とは?
ZEH住宅の「ZEH」とは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」のことで、Zero Energy House の頭文字をとって「ゼッチ」と呼ばれています。
地球環境保全やエネルギー安定化の取り組みのひとつとして政府が普及を進めているので、ZEH仕様で家を建てると補助金が貰えます。
簡単にわかりやすく言うと、「地球環境にやさしい住宅なのでZEH住宅にするなら補助金出すよ」ということです。
また、ZEHよりも厳しい基準「ZEH+」もあり、補助金が増えたり追加補助が受けられます。
ZEHは省エネ性能で3種類ある?
ZEH住宅には省エネ性能のグレード別に「ZEH」、「Nearly ZEH」、「ZEH Oriented」の3種類があります。
同じZEH住宅なのになぜ違いがあるのか、それは安全性や天候の問題などで要件を満たすことが困難な地域を考慮したからです。
種類 | 内容 |
---|---|
ZEHZEH+ | 太陽光発電等によって、消費エネルギーの100%をまかなえるもの。 |
Nearly ZEHNearly ZEH+ | 太陽光発電等によって、消費エネルギーの75%以上まかなえるもの。主に寒冷地や低日射地域、多雪地帯などの地域に限り適用される。 |
ZEH Oriented | ZEHの基準を満たす断熱性と省エネ性を備え、太陽光パネル等の再生可能エネルギーの発電装置がないもの。主に都市部狭小地の二階建て以上および多雪地域に限り適用される。 |
ZEH、ZEH+
ZEHは太陽光発電等によって年間の一次エネルギー消費量を100%以上削減できる住宅のことです。
100%以上とありますが、簡単にいうと「省エネ性能が高く、使うエネルギーと創るエネルギーがプラスマイナスゼロに出来る住宅」ということになります。
ちなみに「一次エネルギー消費量」とは、冷暖房、換気、給湯、照明などの住宅設備が消費するエネルギーのことです。
冷暖房や換気扇などは空調設備、キッチンや洗面、浴室などは給排水衛生設備になるので住宅設備には入りません。
Nearly ZEH、Nearly ZEH+
Nearly ZEHは「ニアリー・ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」のことで、住宅スペースの問題で太陽光発電装置を十分に設置することが困難な場合を考慮し、創エネ基準がZEHよりも低いモデルのことです。
ZEHでは太陽光発電等によってまかなえる消費エネルギーが100%でしたが、Nearly ZEHでは75%に緩和されています。
ただし、寒冷地や低日射地域、多雪地帯などの地域に限り適用されるので、北海道、東北および日本海側の地域や雪が多い地域が中心となります。
ZEH Oriented
ZEH Orientedは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス・オリエンテッド」のことで、安全性や天候の問題などZEHの要件を満たすことが困難な地域を考慮し、創エネ基準がZEH、Nearly ZEHよりも低いモデルのことです。
創エネを含む年間消費エネルギーが20%以上です。
ZEHであれば太陽光発電の導入が取得要件になりますが、Nearly ZEHでは再生可能エネルギーの活用は必須ではないので、太陽光による発電が難しいとされる都市部狭小地であっても取得可能です。
ZEH住宅にするメリットとデメリット
ZEH住宅は環境にやさしい次世代の住宅で、大きなメリットがありますが、場合によってはデメリットもあります。
光熱費が安くなる
ZEHを導入することでメリットがありますが、その中でも大きなメリットはやはり光熱費を抑えられることです。
使うエネルギーと創るエネルギーがプラスマイナスゼロになるので、光熱費を0円にすることも可能です!
使い切れなかった電力を売電し、売電利益が光熱費を上回る場合もありますが、現在では売電価格の減額により、発電電力は売電より節電の方が圧倒的に経済メリットが高いといえます。
太陽光発電の設置や高い断熱性能を実現するためには、建築費用が高額になってしまうデメリットがあります。
しかし、光熱費が0円となれば、ZEH住宅に長く住めば住むほどいつかは元が取れるので、生涯コストで考えたときには経済的に優しいといえます。
また、高性能の住宅のため資産価値が高く、売却時にも高く売れる可能性があるのもメリットといえます。
快適に過ごせる
断熱性能を高めることで室内の気温変化が少なくなります。
リビングが暖かくても急に寝室や廊下に出ると寒いといった状況が生まれます。
とくに、11月~2月までの時期に起こりやすいヒートショックは、暖かい室内から寒い浴室で急に体温が奪われて血管が収縮し、熱いお風呂に入ることで血圧が急激に上がることで発生します。
ZEH住宅の断熱効果により部屋ごとの温度差がなくなることで、結露や湿気を防ぎ、カビやダニの増殖を防いだりカビやダニを原因とするせき、アトピー、肌のかゆみ、アレルギーなどを防ぐこともできます。
しかし、高性能な設備や太陽光発電システムには定期的なメンテナンスが必要です。
年中快適に過ごせるメリットは大きいですが、手間や費用というコストは必要になってきます。
災害に強い
太陽光発電など自家発電ができるZEH住宅では、災害などの時の突然の停電でも備蓄しておいた電気を使うことができる心強いメリットがあります。
太陽が出ていることが前提ですが、復旧のメドが立たない時でも生活が続けられるので安心です。
災害時に停電しても備蓄しておいた電気を使って生活が続けられるため、災害からの回復が早くなるメリットがあります。
さらに、「蓄電池システム」を採用することで、エネルギーを効率的に使うことができます。
電気自動車を持っている人なら、EVの充電コンセントも導入すると、夜間や天気が悪い時間帯でも、電気が使えるようになります。
空気の熱でお湯を沸かすことができる「エコキュート」もあれば水の心配も少なくなりますが、蓄電池システム、EV充電、エコキュートも設置するとなると、費用はさらに高額になります。
ZEH住宅には補助金が出る
2050年までにカーボンニュートラルの実現を掲げ、政府が普及を進めているZEH住宅には国から補助金が出ます。
補助額はZEH住宅で55万円、さらにZEHを上回る「ZEH+」の基準を満たす住宅には100万円となっています。(2023年8月現在)
蓄電システムや液体集熱式太陽熱利用システムなど追加補助もあり、ZEH住宅の補助額は55万円+蓄電で最大20万円、ZEH+住宅の補助額は100万円+直交集成板等で最大90万円となっています。
これから新築する人たちがZEH住宅を建てやすいよう、条件を満たした新築住宅に対して用意されている補助金制度。
補助金の額は毎年のように変わるので、ZEH支援事業については各省庁の最新情報をチェックしておきましょう。
まとめ
ZEH住宅とは、使うエネルギーと創るエネルギーがプラスマイナスゼロに出来る経済的にやさしい住宅ということです。
建設費用が高額でメンテナンスもかかりますが、光熱費を抑えながら快適に過ごせて災害にも強い!
さらに、環境保全やエネルギー安定化を目指して政府が推し進めている取り組みのひとつなので、「ZEH住宅にするなら国から補助金を出すよ」ということです。
デメリットもありますが、それ以上にメリットも大きなZEH住宅は「自分たちで使うエネルギーは自分たちでまかなう」、そんな住宅です。