経営事項審査とは

経営事項審査とは、国や市町村が発注する公共工事を直接請け負おうとする業者は必ず受けなければならない審査で、略して「経審(ケイシン)」と呼ばれています。

審査によって建設業者の規模や経営状況等を客観的に点数で評価されます。
その点数を総合評定値(P点)と呼びます。

公共工事が行われる際に建設業者全体へ向けて、募集をかけると、公共工事を請け負いたい建設業者は、公共工事の入札に参加します。
国や市町村などの行政は、入札に参加した建設業者の中から選びますが、この時に、判断基準として必要となるものが経営事項審査ということです。

経営事項審査でなにが審査される?

経営事項審査の審査項目は大きく分けて4つ!

  • 1 .経営規模
  • 2 .経営状況
  • 3 .技術力
  • 4 .その他審査項目(社会性等)

つまり、どれだけの規模の会社で、経営はしっかりされているか、施工技術や雇用保険加入の有無、健康保険及び厚生年金保険、退職金などなどの福利厚生が整っているかといったところです。
これらを総合点として評価するのが経営事項審査です。

工務店やハウスメーカーも審査を受ける?

公共工事の入札をする場合は経営事項審査が必要ですが、注文住宅や規格住宅の分譲建売の施工のみを行う工務店やハウスメーカーには必要ありません。

しかし、1つの工事の請負代金が、税込1,500万円を超える場合には建設業の許可が必要になります。
注文住宅や建売だけを扱っている工務店やハウスメーカーでも、自社で施工する場合には必要です。

工務店やハウスメーカーでも建設業の許可を持っている場合がほとんどですが、建設業の許可を取得していない場合は家を1棟建てるような工事をしていないか、すべて下請けに丸投げの可能性があります。

ただし、建設業法では一括下請負(丸投げ)をするのもされるのも禁止です。
それは工事発注者の信頼を裏切ることになり、丸投げを繰り返して中間搾取を繰り返す悪徳ブローカー対策とされています。

ただし、合法的な丸投げもあります。

  • 1 .民間工事であること
  • 2 .共同住宅を新築する工事以外
  • 3 .元請が発注者にあらかじめ一括下請負することを書面で承諾を得ている

細かい要件はありますが、1~3のすべてを満たした場合には合法的に丸投げすることが出来ます。
新築の注文住宅や、規格住宅の分譲建売は要件を満たせば丸投げすることは可能です。

建設業許可の決算書類を見よう

建設業許可を取得すると、事業年度終了後の「決算変更届」(決算報告書、年次報告書)を毎年提出しなければなりません。
これが工務店やハウスメーカーの決算書で、年間の売上高や利益がわかります。

家を建てる場合、氏名、住所や年齢、家族構成といっただけでなく、勤め先や年収などさまざまな個人情報を公開しなければなりません。
ですが、その工務店やハウスメーカーがしっかり経営できているのか、業歴や会社の沿革、社員の数、資金面など知っていますか?

決算変更届には工事経歴書といって、どういった工事を受注したかや金額、発注した会社名などがわかります。
とくに、決算書には売上高や利益だけでなく、現金や預金、借入金がいくらあるのか、役員報酬や宣伝広告費といった経費もわかるので安心です。

決算書類は管轄の県土整備事務所にある建築指導課で過去5年間分を閲覧することができます。

建設業許可には県知事許可と国土交通大臣許可があります。
1つの都道府県に営業所がある場合は県知事許可、2つ以上の都道府県に営業所がある場合は国土交通大臣許可です。

許可 管轄 閲覧場所
国土交通大臣許可 2つ以上の都道府県 九州地方整備局
県知事許可 福岡市(一部除く)、古賀市、宇美町、篠栗町、志免町、須恵町、新宮町、久山町、粕屋町、糸島市 福岡県土整備事務所
県知事許可 北九州市、福津市、宗像市、中間市及び遠賀郡 北九州県土整備事務所
県知事許可 久留米市、小郡市、うきは市及び大刀洗町 久留米県土整備事務所
県知事許可 飯塚市、嘉麻市及び桂川町 飯塚県土整備事務所

この決算変更届の提出期限は、事業年度終了から4か月以内とされているので、各工務店やハウスメーカーの決算後、4か月以内には決算書の閲覧が可能となります。

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